絵銭

絵銭とは貨幣としては使えない銭の形をしている古銭です。絵銭が作られた目的は様々で室町〜明治大正時代まで作られました。絵銭の目的はハッキリとはわかっていませんが、

 

・子供のオモチャ

・賭博用

・記念品

 

という説があります。

 

貨幣として使えなかったからといって価値が無い訳ではありません。

絵銭の中でも人気があり多く流通しているものをまとめました。

 

・大黒銭

大黒銭は絵柄が大黒様でおめでたいということもあり人気がある絵銭です。中心に正方形の穴が開いている穴銭です。単なるオモチャ銭と水戸藩で鋳造された地方貨幣の「水戸大黒銭」があります。水戸大黒銭の絵柄は表面に大黒像、裏面に寿比南山の文字が刻印されています。作られた目的はわかっていないのですが、「寿」は長寿、「南山」は長命を意味するという説が有力です。

 

買取相場:3,000〜1万円

 

・題目銭

題目銭は「南無妙法蓮華経」と題目が刻印されている絵銭です。種類はいくつかあって

 

三十番神

「妙法」

日蓮

十羅刹女

 

という文字が刻印されています。

 

買取相場:2,000〜10万円



・上棟銭

上棟式の時に棟の上から祝いとしてバラ撒く絵銭で、主に神社仏閣の上棟式で使われました。市場ではそこまで人気がないので買取相場も高くありません。

 

買取相場:1,000円前後



・面子銭

面子(メンコ)遊び用の玩具絵銭なのですが、現代の紙メンコとは違います。当時の面子は「泥面子」というもので、離れた場所から面子を投げて相手のメンコの上に重ねることができれば獲得できるというルールです。また、おはじきのようにしても遊んだそうです。

 

買取相場:2,000〜5,000円




・鏡屋銭

明治大正時代まで作られていた貨幣ということはわかっているのですが、その他の情報がほとんどない絵銭です。一説では京都の銭職人が製作したのではないかと言われています。

 

買取相場:7,000〜12万円



・水戸虎銭

幕末に水戸藩で発行された地方貨幣です。この時代は貨幣が全国統一されておらず、各藩内で使われる貨幣が存在していました。水戸虎銭もそのひとつです。

虎の絵柄を収集しているコレクターは多く古銭コレクター以外からも人気が高く市場価格も高めです。

 

相場 2〜15万



・大迫銭(おおはさません)

慶応2年に発行された絵銭で絵柄は猿が馬を曳いているのが特徴です。盛岡藩で発行されたのですが、盛岡では猿は馬を守ると言われていて縁起のいい動物でした。縁起物ということもあり今でも人気が高く、市場価格も高めです。

 

相場 5ー10



・五位堂銭 菊

奈良県の五位堂で作られた子供の石けりです。五位堂は鋳物の生産地ですが、そこの職人さんが余った鉄で菊の模様をあしらった絵銭を子供達に作ってあげたというのが始まりです。五位堂銭 菊は現代でも人気があり買取相場は1〜5万円程度です。そんなものに価値があるのか疑問に感じる人もいるでしょうが、アンティークのオモチャが高額で取引されているのと同じ感覚です。 

 

買取相場:1〜5万円



・浅間銭

浅間銭の絵柄は富士山ですが、富士山の浅間神社が名前の由来です。富士山が描かれているので人気が高く取引価格も高いです。人気のある種類は

 

恵比寿様

浅間二神

南蛮人

 

などです。

 

買取相場:1〜20万円



・穴一銭

これは穴一(あないち)という遊びで使われた絵銭です。穴一とは地面に小さな穴を空けて離れた場所から絵銭などを投げ入れるゲームです。江戸時代に流行したのですが、はじめは小石などを投げ入れていました。次第に貨幣を使って賭博に発展しとうとう禁止されてしまいました。賭博行為は禁止になりましたが穴一自体は流行り続けていたので、穴一用の絵銭が売り出されたというわけです。色々な絵柄があってコレクターには人気の絵銭です。

 

買取相場:5,000〜25万円



・紋切銭

1750年頃から作られた真鍮でできた絵銭で、飾職人によって作られたものがほとんどです。他の絵銭と比べて絵のラインが細いのが特徴です。当時の歌舞伎役者の頭文字や家紋などが多いのですが、鼠や亀甲などは高値が付きます。

 

買取相場:7,000〜20万円



・打印銭

江戸時代に作られた玩具用の絵銭です。子供のオモチャなので大きさや厚さなどはきまっていませんが、薄いものの方がプレミアが付いているようです。

 

買取相場7,000〜20万円



・福神類

縁起がいい絵銭として福神類は人気が高いです。硬貨の面積は小さいので七福神のようにたくさんの神様が描かれていることなく、大黒様や夷様などが単体で描かれています。鋳造された時代は不明ですが人気は高く1万円以上で取引されるケースが多いです。

 

買取相場:2,000〜20万円



・駒曳き銭

駒曳きとは馬を引くことの意で、平安時代天皇が牧場から献上される馬をご覧になる儀式が由来とされています。これも正式な通貨ではないので絵柄の種類は豊富で、猿が馬を引く絵は「猿曳き駒」として人気があります。

 

買取相場:3,000〜20万円



・念仏銭

効果の中でもひときわ大きいのが念仏銭です。直径5cmもあります。「寛永通宝」と刻印されているものもあり誤解してしまう人もいますが、通貨をして使用されていた寛永通宝よりもかなり大きいので見分けやすいです。

寛永通宝の直径は

・1文銭:25mm前後

・4文銭:28mm前後

です。

 

絵柄の特徴は「南無阿弥陀仏」と刻印されているのでわかりやすいです。

 

買取相場:2,000〜10万円





・その他の絵銭:琉球通宝、琉球半朱、金円世宝、大世通宝、世高通宝、秋田鍔銭、細倉当百、箱館通宝、仙台通宝、宝永通寶、筑前通宝、盛岡銅山、水戸虎銭、文禄通宝、慶長通宝、平安通宝、叶手元祐、咸豊通宝、淳熈元宝、太平通宝、二字宝永、貞享通宝